エレミヤ書48-49 ; へブル7

エレミヤ書

第48章

48:1モアブの事について、万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、
「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ぼされた。
キリヤタイムははずかしめられて取られ、
とりでは、はずかしめられてこわされた。
48:2モアブの誉は、消え去った。
ヘシボンで人々はモアブの害を図り、
『さあ、この国を断ち滅ぼそう』という。
マデメンよ、おまえもまた滅ぼされる、
つるぎがおまえを追う。
48:3ホロナイムから叫び声が聞える、
『荒廃と大いなる滅亡だ』という。
48:4モアブは滅ぼされ、
叫びはゾアルにまで聞える。
48:5彼らは泣きながらルヒテの坂を登る。
彼らはホロナイムの下り坂で、
『滅亡』の叫びを聞いたからだ。
48:6逃げて、自分の身を救え、
荒野の野ろばのようになれ。
48:7おまえが、とりでと財宝とを頼みにしたので、
おまえも捕えられるからだ。
またケモシは、その祭司とつかさたちと共に、
捕えられて行く。
48:8滅ぼす者はすべての町に来る、
一つの町ものがれることができない。
谷は滅び、平地は荒される、
主の言われたとおりである。
48:9モアブに翼を与えて、飛び去らせよ。
その町々は荒れて、住む者はなくなる。
48:10主のわざを行うことを怠る者はのろわれる。またそのつるぎを押えて血を流さない者はのろわれる。
48:11モアブはその幼い時から安らかで、
酒が、沈んだおりの上にとどまって、
器から器に、くみ移されなかったように、
捕え移されなかったので、
その味はなお存し、その香気も変ることがない。
48:12主は言われる、それゆえ見よ、わたしがこれを傾ける者どもをつかわす日が来る。彼らはこれを傾け、その器をあけ、そのかめを砕く。48:13その時モアブはケモシのために恥をかく。ちょうどイスラエルの家がその頼みとしたベテルのために恥をかいたようになる。
48:14あなたがたはどうして
『われわれは勇士だ。強い戦士だ』というのか。
48:15モアブとその町々を滅ぼす者は上って来、
モアブのえり抜きの若者たちは下って殺されたと
万軍の主と名のる王が言われる。
48:16モアブの災難は近づいている、
その苦難はすみやかに来る。
48:17すべてその周囲にある者よ、
またその名を知る者よ、
彼のために嘆いて、
『ああ、強き笏、麗しきつえは、
ついに折れた』と言え。
48:18デボンに住む者よ、ああなたの栄えを離れて下り、かわいた地に座せよ。
モアブを滅ぼす者があなたに攻めのぼって来て、
あなたの城を滅ぼしたからだ。
48:19アロエルに住む者よ、
道のかたわらに立って見張りし、
逃げてくる男、のがれてくる女に尋ねて、
『何が起ったのか』と言え。
48:20モアブは敗れて、恥をこうむっている。
嘆き呼ばわれ。
アルノン川のほとりで、
モアブは滅ぼされたと告げよ。
48:21さばきは高原の地に臨み、ホロン、ヤハズ、メパアテ、48:22デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、48:23キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、48:24ケリオテ、ボズラなどモアブの地のすべての町の、遠いものにも近いものにも、臨んだ。48:25モアブの角は砕け、その腕は折れたと主は言われる。
48:26モアブを酔わせよ、彼が主に敵して自ら高ぶったからである。モアブは自分の吐いた物の中にころがって、笑い草となる。48:27イスラエルはあなたの笑い草ではなかったか。あなたが、彼のことを語るごとに首を振ったのは、彼が盗賊の中にいたとでもいうのか。
48:28モアブに住む者よ、町を去って岩の間に住め。
谷の入口のかたわらに巣を作る
山ばとのようにせよ。
48:29われわれはモアブの高慢な事を聞いた、
その高慢は、はなはだしい。
すなわち、その尊大、高慢、横柄、
およびその心の高ぶりのことを聞いた。
48:30主は言われる、わたしは彼の横着なのを知る、
彼の自慢は偽りで、その行いも偽りである。
48:31それゆえ、わたしはモアブのために嘆き、
モアブの全地のために呼ばわる。
キルヘレスの人々のためにわたしは悲しむ。
48:32シブマのぶどうの木よ、
わたしはヤゼルのために泣くのにまさって
おまえのために泣く。
おまえのつるは延びて海を越え、ヤゼルに及んだ。
おまえの夏の実と、その収穫を滅ぼす者が
襲ってきた。
48:33喜びと楽しみは、実り多いモアブの地を去った。
わたしは、ぶどうをしぼる所にも酒をなくした。
楽しく呼ばわって、ぶどうを踏む者もなくなった。
呼ばわっても、喜んで呼ばわる声ではない。
48:34ヘシボンとエレアレは叫ぶ。ヤハヅに至るまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至るまで、彼らはその声をあげる。ニムリムの水も絶えたからである。48:35主は言われる、わたしは犠牲を高き所にささげ、香をその神にたく者をモアブのうちに滅ぼす。48:36それゆえ、わたしの心はモアブのために笛のように嘆き、わたしの心はキルヘレスの人々のために笛のように嘆く。彼らの獲た富が消えうせたからである。
48:37人はみな髪をそり、皆ひげをそり、みな手に傷をつけ、腰に荒布を着ける。48:38モアブではどこの屋根の上も、広場も、ただ悲しみに包まれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器のようにモアブを砕いたからであると主は言われる。48:39ああ、モアブはついに滅びた。人々は嘆く。ああ、モアブは恥じて顔をそむけた。モアブはその周囲のすべての者の笑い草となり恐れとなった」。
48:40主はこう言われる、
「見よ、敵はわしのように速く飛んできて、
モアブに向かって翼をのべる。
48:41町々は取られ、城は奪われる。
その日モアブの勇士の心は
子を産む女の心のようになる。
48:42モアブは滅ぼされて、国を成さないようになる。
主に敵して自ら誇ったからである。
48:43主は言われる、
モアブに住む者よ、
恐れと、穴と、わなとがあなたに臨んでいる。
48:44恐れをさけて逃げる者は穴におちいり、
穴をよじ上って出る者は、わなに捕えられる。
わたしがモアブに、その罰せられる年に、
これらのものを臨ませるからであると
主は言われる。
48:45逃げた者はヘシボンの陰に、力なく立ちどまる。
ヘシボンから火が出、シホンの家から炎が出て、
モアブの額、騒ぐ人々の頭の頂を焼いたからだ。
48:46モアブよ、おまえはわざわいだ。
ケモシの民は滅びた。
おまえのむすこらは捕え移され、
おまえの娘らも捕え行かれたからである。
48:47しかし末の日にわたしは再びモアブを栄えさせると
主は言われる」。
ここまではモアブのさばきの事をいったのである。

第49章

49:1アンモンびとについて、
主はこう言われる、
「イスラエルには子がないのか、世継ぎがないのか。
どうしてミルコムがガドを追い出して、
その民がその町々に住んでいるのか。
49:2主は言われる、
それゆえ、見よ、アンモンびとのラバを攻める
戦いの叫びを、わたしが聞えさせる日が来る。
ラバは荒塚となり、その村々は火で焼かれる。
そのときイスラエルは自分を追い出した者どもを
追い出すと主は言われる。
49:3ヘシボンよ嘆け、アイは滅ぼされた。
ラバの娘たちよ呼ばわれ。
荒布を身にまとい、悲しんで、
まがきのうちを走りまわれ。
ミルコムとその祭司およびつかさが
共に捕え移されるからだ。
49:4不信の娘よ、
あなたはなぜ自分の谷の事を誇るのか。
あなたは自分の富に寄り頼んで、
『だれがわたしに攻めてくるものか』と言う。
49:5主なる万軍の神は言われる、
見よ、わたしはあなたの上に恐れを臨ませる、
それはあなたの周囲の者から来る。
あなたは追われて、おのおの直ちに他人に続き、
逃げる者を集める人もない。49:6しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再び栄えさせると、主は言われる」。
49:7エドムの事について、万軍の主はこう言われる、
「テマンには、もはや知恵がないのか。
さとい者には計りごとがなくなったのか。
その知恵は消えうせたのか。
49:8デダンに住む者よ、
逃げよ、のがれよ、深い所に隠れよ。
わたしがエサウの災難を彼の上に臨ませ、
彼を罰する時をこさせるからだ。
49:9ぶどうを集める者があなたの所に来たならば、
すこしの実をも残さないであろうか。
夜、盗びとが来たならば、
自分たちの満足するだけ滅ぼさないであろうか。
49:10しかしわたしはエサウを裸にし、
その隠れる所を現したので、
彼はその身を隠すことができない。
その子どもたちも、兄弟も、隣り人も滅ぼされる。
そして彼は、いなくなる。
49:11あなたのみなしごを残せ、
わたしがそれを生きながらえさせる。
あなたのやもめには、わたしに寄り頼ませよ」。
49:12主はこう言われる、「もし、杯を飲むべきでない者もそれを飲まなければならなかったとすれば、あなたは罰を免れることができようか。あなたは罰を免れない。それを飲まなければならない。49:13主は言われる、わたしは自分をさして誓った、ボズラは驚きとなり、ののしりとなり、荒れ地となり、のろいとなる。その町々は長く荒れ地となる」。
49:14わたしは主からのおとずれを聞いた。
ひとりの使者がつかわされて万国に行き、
そして言った、
「あなたがたは集まり、行って彼を攻め、立って戦え。
49:15見よ、わたしはあなたを万国のうちに小さい者とし、
人々のうちに卑しめられる者とする。
49:16岩の割れ目に住み、山の高みを占める者よ、
あなたの恐ろしい事と、あなたの心の高ぶりが、
あなたを欺いた。
あなたは、わたしのように巣を高い所に作っているが、
わたしはその所からあなたを取りおろすと
主は言われる。
49:17エドムは恐れとなる。そのかたわらを通り過ぎる者はみな恐れ、その災のために、舌打ちする。49:18主は言われる、ソドムとゴモラとその隣の町々がくつがえされた時のように、そこに住む人はなく、そこに宿る人もなくなる。49:19見よ、ししがヨルダンの密林から上ってきて、じょうぶな羊のおりを襲うように、わたしは、たちまち彼らをそこから逃げ走らせ、わたしの選ぶ者をその上に立てる。だれかわたしのような者があるであろうか。だれがわたしを呼びつけることができようか。どの牧者がわたしの前に立つことができようか。49:20それゆえ、エドムに対して主が立てた計りごとと、テマンに住む者に対してしようとする事を聞くがよい。彼らの群れのうちの小さいものまでも皆、引かれて行く。彼らのおりのものもその終りを見て恐れる。49:21その倒れる音を聞いて、地は震い、彼らの叫び声は紅海にも聞える。49:22見よ、敵はわしのように上り、すみやかに飛びかけり、その翼をボズラの上に張り広げる。その日エドムの勇士の心は子を産む女の心のようになる」。
49:23ダマスコの事について、
「ハマテとアルパデは、うろたえている、
彼らは悪いおとずれを聞いたからだ。
彼らは勇気を失い、
穏やかになることのできない海のように悩む。
49:24ダマスコは弱り、身をめぐらして逃げた、
恐怖に襲われている。
子を産む女に臨むように痛みと悲しみと彼に臨む。
49:25ああ、名ある町、楽しい町は捨てられる。
49:26それゆえ、その日に、若い者は、広場に倒れ、
兵士はことごとく滅ぼされると
万軍の主は言われる。
49:27わたしはダマスコの城壁の上に火を燃やし、
ベネハダデの宮殿を焼き尽す」。
49:28バビロンの王ネブカデレザルが攻め撃ったケダルとハゾルの諸国の事について、
主はこう言われる、「立って、ケダルに向かって進み、
東の人々を滅ぼせ。
49:29彼らの天幕と、その羊の群れとは取られ、
その垂幕とそのもろもろの器と、
らくだとは彼らの所から運び去られ、
人々は彼らに向かって叫ぶ、
『恐ろしいことが四方にある』と。
49:30主は言われる、ハゾルに住む者よ、
逃げよ、遠くさまよい行き、深い所に隠れよ。
バビロンの王ネブカデレザルが
あなたがたを攻める計りごとをめぐらし、
あなたがたを攻める、てだてを設けたからだ。
49:31主は言われる、
立って進み、安全な所に住むきらくな民を攻めよ、
彼らは門もなく、貫の木もなく、ひとり離れて住む。
49:32彼らのらくだは、ぶんどり物となり、
家畜の群れは奪われる。
わたしは、かの髪の毛のすみずみを切る者を
四方に散らし、
その災難を八方からこさせると主は言われる。
49:33ハゾルは山犬のすまいとなり、
いつまでも荒れ地となっている。
だれもそこに住む人はなく、
そこに宿る人もない」。
49:34ユダの王ゼデキヤの治世の初めのころに、エラムの事について預言者エレミヤに臨んだ主の言葉。
49:35万軍の主はこう言われる、「見よ、わたしはエラムが力として頼んでいる弓を折る。49:36わたしは天の四方から、四方の風をエラムにこさせ、彼らを四方の風に散らす。エラムから追い出される者の行かない国はない。49:37主は言われる、わたしはエラムをしてその敵の前、またその命を求める者の前に恐れさせる。わたしは災をくだし、激しい怒りをその上にくだす。彼らのうしろに、つるぎを送って滅ぼし尽す。49:38そしてわたしの位をエラムにすえ、王とつかさたちとを滅ぼすと主は言われる。
49:39しかし末の日に、わたしはエラムを再び栄えさせると、主は言われる」。


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第7章

7:1このメルキゼデクはサレムの王であり、いと高き神の祭司であったが、王たちを撃破して帰るアブラハムを迎えて祝福し、7:2それに対して、アブラハムは彼にすべての物の十分の一を分け与えたのである。その名の意味は、第一に義の王、次にまたサレムの王、すなわち平和の王である。7:3彼には父がなく、母がなく、系図がなく、生涯の初めもなく、生命の終りもなく、神の子のようであって、いつまでも祭司なのである。
7:4そこで、族長のアブラハムが最もよいぶんどり品の十分の一を与えたのだから、この人がどんなにすぐれた人物であったかが、あなたがたにわかるであろう。7:5さて、レビの子のうちで祭司の務をしている者たちは、兄弟である民から、同じくアブラハムの子孫であるにもかかわらず、十分の一を取るように、律法によって命じられている。7:6ところが、彼らの血統に属さないこの人が、アブラハムから十分の一を受けとり、約束を受けている者を祝福したのである。7:7言うまでもなく、小なる者が大なる者から祝福を受けるのである。7:8その上、一方では死ぬべき人間が、十分の一を受けているが、他方では「彼は生きている者」とあかしされた人が、それを受けている。7:9そこで、十分の一を受けるべきレビでさえも、アブラハムを通じて十分の一を納めた、と言える。7:10なぜなら、メルキゼデクがアブラハムを迎えた時には、レビはまだこの父祖の腰の中にいたからである。
7:11もし全うされることがレビ系の祭司制によって可能であったら――民は祭司制の下に律法を与えられたのであるが――なんの必要があって、なお、「アロンに等しい」と呼ばれない、別な「メルキゼデクに等しい」祭司が立てられるのであるか。7:12祭司制に変更があれば、律法にも必ず変更があるはずである。7:13さて、これらのことは、いまだかつて祭壇に奉仕したことのない、他の部族に関して言われているのである。7:14というのは、わたしたちの主がユダ族の中から出られたことは、明らかであるが、モーセは、この部族について、祭司に関することでは、ひとことも言っていない。7:15そしてこの事は、メルキゼデクと同様な、ほかの祭司が立てられたことによって、ますます明白になる。7:16彼は、肉につける戒めの律法によらないで、朽ちることのないいのちの力によって立てられたのである。7:17それについては、聖書に「あなたこそは、永遠に、メルキゼデクに等しい祭司である」とあかしされている。7:18このようにして、一方では、前の戒めが弱くかつ無益であったために無効になると共に、7:19(律法は、何事をも全うし得なかったからである)、他方では、さらにすぐれた望みが現れてきて、わたしたちを神に近づかせるのである。7:20その上に、このことは誓いをもってなされた。人々は、誓いをしないで祭司とされるのであるが、7:21この人の場合は、次のような誓いをもってされたのである。すなわち、彼について、こう言われている、「主は誓われたが、心を変えることをされなかった。あなたこそは、永遠に祭司である」。7:22このようにして、イエスは更にすぐれた契約の保証となられたのである。7:23かつ、死ということがあるために、務を続けることができないので、多くの人々が祭司に立てられるのである。7:24しかし彼は、永遠にいますかたであるので、変らない祭司の務を持ちつづけておられるのである。7:25そこでまた、彼は、いつも生きていて彼らのためにとりなしておられるので、彼によって神に来る人々を、いつも救うことができるのである。
7:26このように、聖にして、悪も汚れもなく、罪人とは区別され、かつ、もろもろの天よりも高くされている大祭司こそ、わたしたちにとってふさわしいかたである。7:27彼は、ほかの大祭司のように、まず自分の罪のため、次に民の罪のために、日々、いけにえをささげる必要はない。なぜなら、自分をささげて、一度だけ、それをされたからである。7:28律法は、弱さを身に負う人間を立てて大祭司とするが、律法の後にきた誓いの御言は、永遠に全うされた御子を立てて、大祭司としたのである。


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